日時:2025年12月7日(日)9:00~13:00
会場:千葉医療福祉専門学校
参加人数:行政職員 君津市2名 木更津市1名 富津市3名 袖ヶ浦市1名
その他参加者27名
今回は君津ブロック初の取り組みである行政情報交換会を開催いたしました。「各市のインフォーマルサービスについて~どのようなものがあり、どう連携?」をテーマに君津圏域4市の行政職員の方にお越しいただき、各市のインフォーマルサービスについての現状および取り組みに関する報告をしていただきました。
インフォーマルサービスとは、介護保険制度などの公的な制度に基づかない、地域住民やボランティア団体などが提供する支援サービスのことを指します。これにより日常生活の小さな困りごとや、社会参加の促進をサポートする役割を担っています。
今回の行政情報交換会ではリハ職として知っておくべきインフォーマルサービスの一部を参加者の皆さんと共有する大変貴重な機会となりました。
以下に各市の取り組みや特徴を報告いたします。
- 木更津市
木更津市の介護予防事業では、きさらづ筋力アップ体操(34団体)、介護予防教室(自立生活体操17カ所、高齢者の職と運動の元気アップ教室16回)、歯科衛生士・栄養士によるフレイル予防教室、コグニサイズ教室、通所型・訪問型サービスC事業があります。
きさらづ筋力アップ体操は、平成26年から自主グループの立ち上げ支援を開始し、体力測定・PTによる運動指導、歯科衛生士・栄養士による講話を実施。今年、きさらづ筋力アップ体操2025バージョンの作成に至りました。
また木更津市の地域特性として、山間部の高齢者率が50%近くに達するのに対して、市中心部では20~30%程度となっており、地域により住民主体の団体の特性や必要なインフォーマルサービスに相違が生じることなどが報告されました。
木更津市は、包括支援センターが6カ所あるため様々な相談を受けられることや関係各所との繋がりが強固であることが長所として挙げられ、市職員に保健師・専門職が各1人しかいないこと、住民主体の団体は様々な理由から立ち上げから10年継続することが困難であることが課題として示されました。

- 富津市
富津市ではフレイルトレーナー(PT8名、OT2名、管理栄養士1名)とフレイルサポーター(市民39名)が中心となるフレイルチェック事業が盛んに実施されています。身体的フレイルに加えオーラルフレイルに対するチェック項目も含まれており、通いの場やイベントに出向きブース開設やチラシ配布をし、フレイルチェック講座や認知度向上に向けた活動をしています。
現在、百歳体操(45団体)、サロン・助け合いサービス(10団体)、認知症カフェ(4カ所)の住民主体の通いの場があり、地域リハビリテーション活動支援事業としてリハ専門職(フレイルトレーナー)を通いの場等に派遣し、体操のポイントや注意点などを指導しています。
また通いの場に来られない方に対しては、生活支援コーディネーターとフレイルサポーターが協働しコミュニケーションを取りながら孤立を防ぐ取り組みをしつつ、自宅でフレイルチェックも実施しています。
富津市では上記で紹介したフレイルチェック事業を中心とした取り組みが長所ではあるが、こういったインフォーマルサービスが行き届かない方々に対してどのように展開していくかが今後の課題とのことでした。

- 君津市
君津市の体操教室の特徴は、前市長から取り組み始めた年月が長い体操があること、君津健康体操・屋外うんどう・健康増進体操の3団体85か所に及ぶ体操教室があることです。
君津健康体操はストレッチを中心として、筋トレ、ラジオ体操、DVDを見ながらなど千葉医療福祉専門学校の協力のもと年2回の講師派遣・1回の体力測定を実施しています。
屋外うんどうは市内2カ所の屋外うんどう遊園を利用した体操で、指定の講習を受けた市民が「地域指導員」となり体操を指導されています。また雨天や猛暑時に屋内でもできる6つの運動もあり、様々な条件でも継続できるよう工夫されていました。
健康増進体操は、生きがい支援センター、小櫃公民館、農村環境改善センターの3か所で実施しており、PT、OTによる指導を受けられることが特徴です。

- 袖ヶ浦市
袖ヶ浦市では平成26年度からいきいき百歳体操を実施しており、一時73団体まで増加しましたが、木更津市と同様に団体を継続できなくなるなどの問題があり、現在63団体となっています。行政の取り組みとして継続のために令和5年に袖ヶ浦いきいき百歳体操<弐>にリニューアルし、モチベーションアップを図りました。
また地域リハビリテーション活動支援事業として、リハ職が百歳体操<弐>の開発や実技指導・体力測定、介護予防の啓発活動、はつらつシニアサポーター養成講座での講話・実技指導などに参加しています。
その他のインフォーマルサービスとして、外出支援や生きがい活動・集いの場の紹介もしていただきました。
袖ヶ浦市の地域特性として、山側・海側の地域格差が大きく、通いの場への参加が難しい方が多くいるため、YouTubeを公開し自宅で運動できるように計画中とのことでした。
袖ヶ浦市の長所はさつき台病院との連携・協力体制にあり、介護予防のためのサービスCを提供できていることが挙げられます。

各市の介護事業担当者の皆さまより、体操教室やインフォーマルサービスの取り組みについてご説明をいただき、ありがとうございました。各市の特色や工夫を共有いただき、今後の介護予防や地域支援を考える上で大変参考となりました。各市の財政状況により事業規模を縮小せざるを得ないこともあるため、行政と共に地域の介護予防事業に携わるリハ職はその点も考慮したうえでの活動が求められると考えられました。本日得られた知見を、今後の活動や連携に活かしてまいります。
お忙しい中、貴重なお話をいただき、心より御礼申し上げます。

- 最後に
君津ブロックの活動に日頃よりご理解とご協力をいただき、誠にありがとうございます。本年度は、研修会・交流会を通して、会員同士のつながりを深めるとともに、理学療法士として地域に貢献することを目的に、さまざまな取り組みを行ってまいりました。いずれの活動も、会員の皆様の積極的な参加や、関係機関の皆様のご支援のおかげで、無事に年間計画を終えることができました。
改めまして、ご協力いただいたすべての皆様に心より感謝申し上げます。
今後も君津ブロックでは、災害やテーピングなど、実践に役立つ取り組みを大切にしながら、地域に根ざした活動を続けていきたいと考えております。引き続き、皆様のご参加とご協力をよろしくお願いいたします。
最後になりますが、会員の皆様の今後のご活躍とご健勝をお祈りし、年間活動終了のご挨拶とさせていただきます。